初めて管理職になった人におくる3箇条~尊敬する上司から学んだマネジメントのコツ~

管理職に昇進し「俺がこのチームを引っ張っていく!」とやる気に満ち溢れている人も多いだろう。しかし、「俺が引っ張っていく」と考える人はマネジメントに失敗することが多い。

私が尊敬する元上司、Aさんから学んだ「管理職に必要な考え方:3箇条」を伝えたい。

第1条:部下の仕事が最優先

Aさんは「部下から話かけられたら、どんなに忙しくても手を止めて話を聞く」という習慣を持っていた。

「お前たちが成果を出せば俺が評価されんねん!」と笑って答えていたが、部下の仕事を最優先する習慣は全ての管理職が見習うべきだろう。

新米管理職の多くは「リーダーは背中で見せるものだ!」と勘違いし、自ら成果を出そうとする。しかし、本来管理職の仕事は「部下が成果を出す環境づくり」だ。

Aさんのように、いつでも部下の話に耳を傾ける(部下の仕事を最優先する)だけで、上司に相談しやすい環境が出来上がる。相談しやすい環境ができれば、現場の問題を早期に吸い上げ解決に導くことができるだろう。

第2条:定点観測(マイクロマネジメントをしない)

Aさんは週1回の定例会議のときだけ、細かく状況を把握してアドバイスをするが、普段の仕事に対しては全く口出ししない人だった。会議の最後に「また来週状況教えて~」と言うだけ。

不思議とそれだけで組織が上手く回っていた。

外から見れば、部下を放置しているように見えたかもしれないが、部下たちは「Aさんは自由にやらせてくれて働きやすい」と口を揃えた。

「権限と責任(結果への責任)」をセットで与え、週次で結果を把握する。結果が出ているときは一切口出しせず、結果が出ないときだけ、正しいやり方をアドバイスする、というやり方だった。

新米管理職が気を付けるべきこと

自分自身が成果を上げてきた新米管理職ほど、部下と自分のやり方との違いが気になってしまう。

「今のは〇〇したほうが良い」
「何で○○しないんだ」

結果がどうなるかわからないにも関わらず、自分がやってきたやり方を押し付け、部下の行動を変えようと逐一指摘してしまう。この指摘は部下を委縮させるだけで何のメリットもないだろう。

Aさんのように長期的な視点を持ち、自分自身の行動と結果を確認させる。悪い結果が出れば部下は自分自身の問題に気付き、アドバイスを素直に受け取る準備ができる。

部下がミスをしても「良い成長の機会を得た」と思うくらいがちょうど良いだろう。

※そういえばAさんは「俺を謝罪に行かせるくらいの失敗をしろ!」と口癖のように言っていた。この言葉も人材成長を促す1つの要因だったのだと思う。

第3条:怒りの感情を排除し、部下の話に耳を傾ける。

Aさんは常に穏やかに話す人だ。
部下が成果を出したときには「やったな~!」「さすがやな~!」と感情を表に出すが、叱るときは冷静に事実だけを伝え、「俺はこう思ったが、お前はどう思った?」と話を聞いてくれる。

「叱られる!」と身構えている部下にとって、話を受け止め、冷静に諭してくれる上司には一生ついていきたくなるだろう。

かくなる私も一度だけ社内を騒然とさせる発言をしたことで、上層部から大激怒されたことがあった。しかし、生意気だった当時の私は「自分が言ったことは正しい」と主張し、全く反省していなかった。

その後、Aさんにも呼び出された私は「また怒られる」と身構えていたが、Aさんが私に語った第一声は「俺はお前が言ったことは正しいと思う」という言葉だった。

「偉そうなこと言ってんじゃねえぞ!」と上層部から激怒されてきた私は、この上司の言葉を聞いて涙が出そうになったことを覚えている。

Aさんは、その後「言っていることは正しかったが、どこが良くなかったのか?」を事実を元に諭してくれた。生意気だった当時の私も、「お前の言っていることは正しい」と受け止めてくれたAさんのアドバイスを素直に受け取ることが出来たのだ。

怒りの感情をぶつけても部下が素直に受け止めることはない。委縮するだけだ。怒りの感情を排除し、部下の話に耳を傾けることこそ、管理職に求められる姿勢なのだと思う。

まとめ:管理職に必要なマネジメントのコツ3箇条

第1条:部下の仕事が最優先
第2条:定点観測(マイクロマネジメントをしない)
第3条:怒りの感情を排除し、部下の話に耳を傾ける。

この3箇条は日常の習慣であり、マスターするにはかなりの時間を要するだろう。
しかし、この3箇条をマスターできれば、働きやすい組織が出来上がり、部下の成長が後からついてくる。

人材育成は長期戦。

長年意識してきた私も、正直まだまだうまくいかないことも多い。
この3箇条を習慣にできるように引き続き意識しながら頑張っていこうと思う。