転職は業界・職種を変えることにつながるため、人生のターニングポイントになる人が多くいます。近年、働き方が多様化したことから、障害者を受け入れる企業が増加傾向です。
しかし、障害者向けの求人数は健常者向けの求人数に比べて少ないため、障害者の転職は難しい状況が続いています。
この記事では、障害者の転職事情・障害者の転職が難しい理由・障害者が転職を成功させるコツを紹介します。また、厳選した障害者向けの転職エージェントを7つ紹介(結論を見たい方はこちら)するため、転職を考えている人はぜひ参考にしてください。
障害者の転職事情|求人数・就職率も
転職活動を進めるにあたって、障害者向けの求人件数・就職率を知っておくことが大切です。下記は、障害者専用求人数をまとめた表です。
2019年度 | 2020年度 | |
障害者専用求人数 | 252,191件 | 194,746件 |
(出典:厚生労働省「令和2年度 ハローワークを通じた障害者の職業紹介状況などの取りまとめを公表します」)
2020年度の障害者用求人数は194,746件であり、2019年度の障害者専用求人数252,191件に比べて減少しています。障害者専用の求人数が減少している理由は、新型コロナウイルス感染拡大によって企業の採用活動が鈍っているためです。
ただし、健常者の求人数も2019年度に比べて2020年度のほうが減少傾向にあります。そのため、障害者の求人件数のみが減ったわけではありません。
次に、障害別の就職件数・就職率を紹介します。なお、「その他の障害者」とは、発達障害者・高次脳機能障害者・難病患者など、身体障害者・知的障害者・精神障害者以外の障害を持つ人のことです。
就職件数 | 就職率 | |
身体障害者 | 20,025件 | 34.7% |
知的障害者 | 19,801件 | 57.7% |
精神障害者 | 40,624件 | 42.6% |
その他の障害者 | 9,390件 | 38.2% |
合計 | 89,840件 | 42.4% |
身体障害者の就職率の割合は30%台ですが、軽度の身体障害者であれば健常者とほとんど変わらない生活を送ることができるため、紹介した数値より就職率は上がる可能性は高いでしょう。
知的障害者は就職件数こそ少ないものの、就職率は高い傾向にあります。知的障害者の受け入れ体制を整え始めた企業が増えてきていることが予測されます。
精神障害者は、ストレスになる仕事は極力避けたいと考える人が一定数いるため、他の障害者と比べて就職件数が多い傾向です。
障害者全体の就職率は40%台となっており、高い数値ではないもののじっくりと転職活動を進めることで、転職先を見つけられるでしょう。
障害者の転職が難しい理由
障害者の場合、就くことができる業界・職種が限定されることが多いため、健常者と比べて転職の難易度が高くなります。また、障害者のなかには「自分の身体の影響が原因で転職が難しい」と考える人もいるでしょう。障害者の転職が難しい理由として、下記の2点が挙げられます。
・転職活動に時間がかかる
ここからは、障害者の転職が難しい理由2つについて詳しく解説します。
障害者の受け入れ体制が整っていない企業が多くある
日本には「障害者雇用率制度」という制度があるため、企業は障害者を一定数採用することが義務化されています。しかし、「障害者のマネジメントができない」「適正な業務が判断できない」などの理由から、障害者の受け入れ体制が整っていない企業が少なくありません。
また、「障害者の育成にかける時間を確保できない」「障害者に採用コストを割くことが難しい」などの事情により、障害者の採用に消極的な企業も見られます。
一方、積極的に障害者の採用に乗り出す企業では、仕事の進め方を見直したり、障害者への理解を深めたりしています。障害者の採用に積極的に取り組んでいる企業を見つけることができれば、転職の難易度が下がることが見込めるでしょう。
転職活動に時間がかかる
前述したように障害者向けの求人数は少ないため、自分に合う企業を見つけにくい実情があります。障害者は通院・リハビリなどで時間が取られることが多く、ハローワークに通う時間を捻出することが難しいため、転職先の候補を見つけるまでに時間がかかる傾向です。
自分に合う企業が見つからなければ、詳しい書類の作成・面接対策が進められず、思うように転職活動が進まないでしょう。障害者の場合は健常者以上に、転職するまでの期間を明確に定めることが大切です。
障害者が転職を成功させるためのコツ3つ
障害者は健常者と同じような転職活動を行っても、企業から内定をもらえる可能性が低いといえます。また、転職活動を長期間続けると妥協して企業を選ぶことにもつながることから、入社後に後悔する恐れもあるでしょう。そのため、転職をしたい人は工夫しながら転職活動を進めることが大切です。
ここからは、障害者が転職を成功させるためのコツを3つ紹介します。
複数社に一気に応募する
複数社に一気に応募することで、転職先が決まる可能性を高めることが可能です。1社ずつ応募すると不採用になった場合は、再び転職先の候補を挙げるところから始める必要があります。
障害者向けの求人は多くないため、好条件の企業・人気の企業などには募集が殺到します。そのため、日数が空くと募集を締め切られる可能性が低くありません。また、複数社から内定がもらえると内定先の企業を比較し、より自分に合った転職先を選択できます。
ただし、複数社に応募する際は「転職の軸」を明確に定めることが大切です。転職の軸とは、転職先に求める条件を自分の中で確立させることを指します。転職の軸が決まらない状態で転職活動をすると、自分の求める条件とは食い違った企業に応募する恐れがあるため、注意が必要です。
複数の媒体を活用して企業を探す
複数の媒体を活用して企業を探すことで、多くの求人情報を調べることができます。障害者向けの求人が取り扱われている媒体は、主に下記の3つがあります。
・転職サイト
・転職エージェント
例えば、転職サイト・転職エージェントに掲載されている求人情報が、ハローワークには掲載されていないことがあります。逆に、ハローワークに掲載されている求人情報が、転職サイト・転職エージェントに掲載されていないことも少なくありません。
また、転職サイト・転職エージェントによって、取り扱っている求人情報が異なるため、複数のサイトを比較することも重要です。
障害者を採用した経験のある企業を選ぶ
転職を成功させるためには、障害者を採用した経験のある企業を選ぶことも大切です。障害者を採用した経験のある企業は、障害者を受け入れる体制が整っているといえます。例えば、職場内のバリアフリー化が進んでいたり、働き方に柔軟な考え方を持っていたりする可能性が高いでしょう。
障害者を採用した経験のある企業は、転職サイト・転職エージェント内で勤務地・職種以外に「バリアフリー」「車いす」などと検索すると、ヒットしやすい傾向です。
障害者が転職をする際に「転職エージェント」を活用すべき理由
障害者が転職をする際は、転職エージェントを活用することがおすすめです。転職エージェントは、専門のアドバイザーが求職者の転職をサポートするサービスです。自分に合った職場の提案・履歴書の添削・面接日程の調整などを行います。
近年では、障害者向けの転職エージェントも多数あるため、自分に合った企業を見つけやすくなっています。障害者の転職は健常者の転職と異なり、求人情報・転職ノウハウが少ないため、専門のアドバイザーに相談しながら転職活動を行うことで成功率がアップするでしょう。
障害者におすすめの転職エージェント7選
転職エージェントとひと口にいっても、特徴・サービス内容は異なります。掲載されている求人も転職エージェントによって異なるため、1つの転職エージェントだけでなく複数の転職エージェントを活用することがおすすめです。
下記に、障害者の求人情報を豊富に取り扱う、転職エージェントを7つ厳選しました。
以下では、7つの転職エージェントの特徴を紹介します。
1.dodaチャレンジ|丁寧なヒアリングが持ち味
(引用:dodaチャレンジ)
「dodaチャレンジ」は丁寧なヒアリングが持ち味で、求職者の強みを活かせる転職先を紹介する転職エージェントです。求人紹介だけでなく、アドバイザーを介して企業に入社日・給与などの交渉ができます。自分の要望を企業に伝えやすいことも、dodaチャレンジの特徴の一つです。
dodaチャレンジを活用すると、自分の理想とする条件の職場を見つけられるでしょう。
2.atGP(アットジーピー)|15年以上にわたる実績
(引用:atGP(アットジーピー))
「atGP(アットジーピー)」は、求人転職情報・雇用支援サービスの一つです。15年以上にわたり蓄積した障害者の就職・転職に関するノウハウがあり、障害者への転職サポート実績が多いことも、atGP(アットジーピー)の特徴です。
また、atGP(アットジーピー)には、ハイクラス向けの「atGPハイクラス」・アスリート向けの「atGPアスリート」・難病向けの「atGPジョブトレ 難病コース
求職者の要望に応じた転職支援ができるサービスが整っていますので、キャリアビジョンに合った転職サービスを受けたい人に、atGP(アットジーピー)はおすすめです。
3.LITALICO(りたりこ)ワークス|利用者のうち92%が満足
(引用:LITALICO(りたりこ)ワークス)
「LITALICO(りたりこ)ワークス」は、障害者に対して就労移行支援・就労定着支援・相談支援などを提供する、就職支援サービスです。
LITALICO(りたりこ)ワークスの就職支援サービスでは、「職場体験」「合同説明会・面接の同行」「就職後の相談・定着支援」などが実施されています。サービスが充実しているため、利用者のうち92%もの人が、LITALICO(りたりこ)ワークスの就職支援に満足しています。
また、LITALICO(りたりこ)ワークスは、今までに1万人以上の就職者を出しており、輩出した就職者の定着率が高いことも特徴です。長く働くことができる職場を見つけたい人に、LITALICO(りたりこ)ワークスの利用をおすすめします。
4.ココルポート|スキルを習得したい方におすすめ
(引用:ココルポート
「ココルポート」は、「統合失調症」「うつ病」「発達障がい」といった、さまざまな障害者の就労移行を支援するサービスです。就職に向けたトレーニングの計画・実施や、個人の強みを活かすプログラムの提供を行っています。実際に、トレーニング・プログラムを通してパソコンのスキルを身につけ、総合病院の医療事務に転職を成功させた利用者もいます。
また、働き世代の人であれば年齢を問わず利用しやすいこともココルポートの特徴です。スキルを身につけて就職したい人は、ココルポートの利用を検討してみましょう。
ココルポートの公式サイト・無料登録はこちら
5.ミラトレ|一般企業に就職を目指す方におすすめ
(引用:ミラトレ
「ミラトレ」は「はたらく未来をあきらめない」をコンセプトに掲げている、就労移行支援事業所です。就労に必要なスキルの取得や、就職の相談・サポートを実施しています。
ミラトレは、「目的を理解する力や報連相が身につきました」「苦手だった面接もスタッフのおかげでクリアできました」など、利用者からの評判が良いことも特徴です。一般企業に就職したいと考えている人は、ミラトレの利用を検討してみてください。
ミラトレの公式サイト・無料登録はこちら
6.エージェント・サーナ|身体障害・内部障害を持つ方のサポートに強い
(引用:【Agent-Sana】
「エージェント・サーナ」は、身体障害・内部障害を持つ人を中心に転職サポートしているエージェントです。約30年間にわたる転職支援実績があり、20代〜20代の内定率が高い特徴があります。また、関西エリアに住んでいる人であれば、Web面談を通して職種・希望条件などをキャリア・アドバイザーに相談できます。
エージェントサーナの公式サイト・無料登録はこちら
エージェント・サーナに登録すると、一般公開されている求人情報だけでなく、非公開求人の閲覧も可能です。たくさんの求人情報を見て就職先を決めたい人は、エージェント・サーナの利用をおすすめします。
7.ランスタッド
(引用:ランスタッド)
「ランスタッド」は、求職者に合ったオーダーメイド求人を紹介する障害者向けの転職支援サービスです。障害の内容・希望する職種を加味した求人を提案するため、求職者の状況に寄り添った転職支援サービスを受けられます。
ランスタッドでは大手企業の求人も多数取り扱っているため、転職によって年収アップを狙える可能性も少なくありません。また、入社の手続き・職場の定着フォローもあり、安心して転職活動に取り組むことができます。
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まとめ
障害者の転職は、健常者の転職と比べて難しい傾向です。企業の受け入れ体制が整っていない・障害者専用求人数が少ないなど、さまざまな理由があり転職活動に数か月かかることも珍しくありません。
障害者が転職を成功させるためには、「複数社に一気に応募する」「複数の媒体を活用して企業を探す」「障害者を採用した経験のある企業を選ぶ」など、工夫が必要です。
また、障害者が転職をする際は「障害者向けの転職エージェント」を活用することをおすすめします。障害者向けの転職エージェントを利用すると、職場体験・求人の提案・入社後のフォローなどのサービスを受けられます。1人で転職活動を進めることに不安を感じる人は、ぜひ障害者向けの転職エージェントを活用してください。
※他のエージェントも確認したいという方は全国の転職エージェント・転職サイトを徹底的にまとめたこちらの記事も参考にしてください。
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