公務員に転職するには?注意するべきポイントを紹介

公務員は待遇・福利厚生が整っているため、人気のある職業です。民間企業から公務員に転職したい人のなかには、「公務員に転職する方法がわからない」という人もいるでしょう。

また、公務員に転職するためには、どのようなことをすればいいのか、自分に公務員が向いているのか分からないという人も少なくありません。

そこでこの記事では、公務員を目指すために必要な準備や、公務員になるメリット・デメリットを紹介しています。民間企業から公務員を目指したい人は、ぜひ参考にしてください。

民間企業から公務員に転職することは難しい?職種ごとの倍率も

民間企業から公務員に転職するためには、公務員試験に合格する必要があります。下記は、令和2年時点における東京都職員採用試験の職種と倍率をまとめた表です。

試験名
(職種)
倍率
Ⅰ類A採用試験
(事務・土木・建築など)
5.1倍
Ⅰ類B採用試験(一般方式)
(機械・福祉・薬剤など)
3.6倍
Ⅰ類B採用試験(新方式)
(行政・ICT)
4.1倍
Ⅱ類採用試験
(司書・栄養士)
8.1倍
Ⅲ類採用試験
(機械・電気など)
6.0倍

(出典:東京都職員採用「令和2年度職員採用試験(選考)実施状況 」

あくまで、東京都の職員の倍率であるため、住んでいる都道府県によって試験名・倍率は異なりますが、どの職種の倍率も3倍以上と高くなっています。また、人気のある自衛隊・警察官もエリア・職種によって異なるものの、5倍前後の倍率あります。

倍率の高さからも分かるように、公務員になるためには計画的に試験勉強を行うことが大切です。

公務員の種類2つ

公務員と一口にいっても、「国家公務員」と「地方公務員」の2つがあります。下記では、それぞれの特徴を紹介します。

国家公務員
特徴国の政策に関わる仕事で総合職・一般職・国家専門職にわけられる
仕事内容・総合職:法律・政策に関わる仕事になっており、企画・立案をする
・一般職:総合職が企画立案したものを実行する
・国家専門職:国税専門官など特定の専門的な知識が必要な職務を行う

 

地方公務員
特徴・都道府県や市町村の自治体で住民を支える
・県庁・市役所・区役所・学校の事務職員・警察・消防などがある
仕事内容・行政窓口や消防、ゴミ処理・上下水道などの管理・運営を行う
・地域に密着した行政サービスを行う

国家公務員は、医療や教育などの身近な仕事から国の運営に関わる仕事まで行っています。また、府省庁で働く職員も国家公務員です。

地方公務員は、地方自治体の総合職して採用され、2~3年働けば異動が行われるため業務範囲は多岐にわたります。ただし、転勤などを伴う異動はありません。

公務員に転職するメリット・デメリット

公務員は「クビにならない」「長く働くことができる」など、多くのメリットがあります。しかし、メリットだけにフォーカスすると、転職してから公務員になったことを後悔する恐れがあります。そのため、公務員に転職するメリット・デメリットを知っておくことが大切です。

ここからは、公務員に転職するメリット・デメリットを紹介します。

メリット

公務員になるメリットは、下記の3つが挙げられます。

・安定した生活を送りやすい
・プライベートを充実させやすい
・社会的信用を得やすい

公務員は国・自治体から給与が支払われるため、業績や景気に給与額は影響されません。一定の給与が得られるため、公務員は安定した生活を送りやすいといえます。

公務員の給与は年功序列制度であるため、20代こそ年収は低いものの、30代・40代・50代と歳を重ねるにつれて、安定して給料が上昇します。そのため、ライフプランを立てやすいことも公務員の魅力の一つです。

公務員は、カレンダー通りに土日祝日が休みになっている場合がほとんどです。プライベートの時間を確保しやすいため、メリハリをつけた生活を送りやすく、家族で過ごす時間を作りやすくなります。

公務員は社会的信用が高く、住宅ローンやクレジットカードの審査、賃貸契約を申し込む際に、断られることはほとんどありません。「将来的には持ち家が欲しい」と考えている人には、公務員の社会的信用の高さがメリットに感じられるでしょう。

デメリット

公務員になるデメリットは、下記の2つが挙げられます。

・年功序列で昇給幅・仕事の裁量が限られる
・スキルが身につかない

公務員は、年功序列制度が民間企業より根強く残っているため、仕事の頑張りが給与に反映されることはほとんどありません。また、上下関係がはっきりしており、若手の意見が通りにくい風潮です。正統な評価を求める人には、年功序列制度に嫌気が差す恐れがあります。

公務員の仕事は、データ入力・資料作成などの事務作業がメインとなります。そのため、仕事を通して専門的なスキルを身につけられる機会がほとんどありません。ただし、職種によっては、ファイナンシャルプランナー・日商簿記などの資格を保有していると、優遇される場合があります。

公務員に向いている人・向いていない人

公務員にはメリットがたくさんありますが、民間企業と異なった組織形態であるため、向き不向きがあります。たとえば、上昇志向の人は公務員の利益を追求しない仕事の進め方が合わず、転職をすることが多い傾向です。公務員が向いていなければ、再び民間企業に転職し直すことになるでしょう。

以下では、公務員に向いている人と向いていない人の特徴を紹介します。

向いている人

公務員に向いている人は、下記の3つが挙げられます。

・人と接することが好きな人
・地域に愛着がある人
・地道な作業が好きな人

公務員の仕事は、地域に根ざした取り組みがほとんどであり、地元住民と話をする機会が多くあります。そのため、人と接することが好きで、コミュニケーション能力が高い人は公務員に向いているでしょう。

また、市役所などの窓口で働く場合は、住民が複雑に感じやすい手続きや行政サービスを説明する機会があり、わかりやすく物事を伝える力も重要です。

公務員の仕事はデスクワークが中心となり、同じ業務を毎日繰り返すことが多くなるため、単調な仕事でも飽きずに取り組める人が求められます。コツコツと地道に作業ができる人も公務員に適しています。

向いていない人

公務員に向いていない人の特徴は、下記の2つが挙げられます。

・事務作業が苦手な人
・短気な人

公務員の仕事は事務作業が多くあります。そのため、書類作成、資料整理などの細かい仕事が苦手な人は向いていないでしょう。

また、短気な人も公務員に向きません。市役所などの窓口業務に携わる人は、住民と話しする機会が多く、ときにはクレーム対応をしないといけません。自分が悪くないことでも謝らなければならないときがあるため、白黒はっきりさせたい人も、公務員の仕事に苦手意識を覚える可能性があります。

公務員に転職する方法

ここからは、公務員に転職する方法を具体的に解説します。

公務員になるためには、4月上旬から9月中旬に行われる公務員試験に合格する必要があります。なお、職種・都道府県によって公務員試験の日程が異なる点に注意してください。そのため、「○○県 公務員試験」などと検索して情報を集めることが大切です。

公務員試験には「一般枠」と「経験者枠」があり、一般枠は省庁や自治体が決めた年齢条件を満たしていれば誰でも受けることができます。なお、一般枠の年齢条件は30歳前後である場合がほとんどです。

一般枠は経験者枠に比べて採用人数が多く、「合格しやすい」と思う人もいるかもしれませんが、就活生も受験するため特別合格しやすいわけではありません。

経験者枠では、民間企業の職務経験がある人を対象にしており、一般枠より年齢制限は高めに設定してあります。即戦力になる人を求めているため、民間企業で1年~10年の職務経験が必要とされています。

公務員試験の内容

公務員試験は、一次試験の「筆記試験」と二次試験の「小論文・面接」に分かれています。一次試験に合格しなければ二次試験を受けることはできないため、最初は筆記試験の勉強に力を入れましょう。

一次試験とは?
一次試験では「教養試験」と「専門試験」があり、5肢択一で解答します。受験先によっては「教養試験」のみの場合があります。また、一部の受験先では専門試験で記述式のこともあるため、申し込みのときに出題形式を確認しておきましょう。
二次試験とは?
二次面接の「小論文・面接」は、人柄やコミュニケーション能力を見るために行われます。小論文では、1,000文字前後の論文を60〜80分で書き上げる必要があります。行政の役割や社会問題に関する内容から出題される傾向です。面接は個人面接もしくは集団面接があり、時間はどちらも15〜30分程度です。個人面接では志望動機・得意分野など、個人に関することが多く聞かれます。集団面接は受験生3〜8名で行います。質問には、指名されて答える場合と挙手で答える場合の2パターンがあるため、どちらの場合でも回答できるように準備しておきましょう。

面接は筆記試験・小論文よりも緊張しやすいため、自己PRなどの聞かれる可能性が高い質問は、あらかじめ回答内容を考えておきましょう。

公務員に転職する際の注意点

公務員には基本的にリストラがないため、定年まで仕事に困ることはありません。しかし、公務員に転職する際には「20~30代向けの募集が多い」「準備せずに転職することは難しい」といった注意点があります。

ここからは、上記の注意点を詳しく紹介します。

20代~30代向けの募集が多い

公務員は、民間企業のように年齢不問で募集をしておらず、ほとんどが20代~30代しか受け付けていません。地方公務員のなかには、35歳以降でも募集を行っている場合もありますが、30歳ぐらいまでが多く、年齢が上がるに連れ募集が少なくなります。

公務員試験で設定されている年齢は、採用年度における4月1日時点の年齢です。たとえば、30歳以下の年齢制限がある公務員試験では、採用年度の4月1日の時点で31歳になっている場合は受験できません。

特に30代前後で公務員に転職することを考えている人は、募集条件にある年齢制限に着目する必要があります。

準備せずに転職することは難しい

前述したように、公務員は民間企業に転職するより試験項目が多くあります。勉強する範囲が広いため、準備せずに公務員試験に合格することは難しいでしょう。

公務員の募集時期や試験日は、省庁や自治体によって異なります。そのため、受けたい職種が決まっている人は、採用スケジュールを確認し、計画的に公務員試験対策の勉強を進めることが大切です。

公務員試験とひと口にいっても、高校で学ぶ範囲や一般教養レベルの試験から大学で学ぶレベルの試験まで、職種によってさまざまです。「勉強の進め方がわからない」という人は、公務員試験対策の通信講座を受けることも検討しましょう。

安定した仕事に転職したい人は大手企業もおすすめ|メリット・デメリットも

安定した職に就きたいことが理由で公務員を目指している人は、大企業に転職することもおすすめです。大企業に転職するメリット・デメリットは、下記のとおりです。

メリットデメリット
 ・福利厚生が充実している
 ・中小企業に比べて給与が高い
 ・社会的信用がある
 ・年功序列制度が残っている企業が多い
 ・業務範囲が限られる
 ・経営陣との距離感が遠い

大企業のメリット・デメリットは、公務員のメリット・デメリットと似たような項目が多くあります。

ただし、公務員に比べて大企業に転職するほうが、転職しやすいという利点があります。大企業に転職する際は、公務員試験のように広範囲の試験が出題されることはありません。また、小論文が実施されることもほとんどありません。そのため、職種にこだわりがないのであれば、大企業に転職することも一つの手段といえます。

民間企業に転職する際は、有効求人倍率を知っておくことが大切となります。有効求人倍率とは、求職者1人にいくつの求人数があるのかを示す倍率のことです。2021年6月時点における、民間企業の有効求人倍率は1.13倍であり、求職者1人に約1件以上の求人がある状況です。

(出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和3年6月分)について」

そのため、募集枠に対して多くの人が集まる公務員に比べ、民間企業のほうが転職しやすいといえるでしょう。自己分析などを通して、自分が公務員と民間企業どちらに向いているのかを判断することが大切です。

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まとめ

民間企業から公務員に転職するためには、公務員試験に合格する必要があります。公務員は希望する職種によって年齢制限が異なるため、応募する際には募集条件を必ず確認しましょう。

公務員試験では、筆記試験・小論文・面接の3項目に合格する必要があるため、民間企業に比べて公務員に転職するほうが難しい傾向です。

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