どのような事業・サービスで起業すべきか?

私が20代前半だった2000年頃。数年の間にネットバブル、ネットバブル崩壊が起こり、華やかだったネット業界が大きく変化した。

「何故、ITの新興企業が次々に倒産したのか?」
「倒産する企業と倒産しない企業の違いは何か?」

私は上記理由を紐解くことで「起業時にどのような事業をやれば良いか?」のヒントがあると考えた。

起業時に選ぶべき事業(3つの条件)

過去に倒産してしまった企業と長く続く上場企業を分析する中で、私が導き出した3つの条件を紹介したい。

①ブームで終わらない事業であること

ブームで終わらない事業とは、人々の生活に定着している事業。
飲食、旅行、教育、不動産など人の生活と関わる事業は簡単になくならないが、一時的なブームで盛り上がっているだけの事業は一気に終焉を迎える。

例えば1990年頃盛り上がった「ポケットベル」、2000年代に流行した「セカンドライフ」は衰退してしまったし、「仮想通貨事業」や「タピオカ店」はブームで終わるかどうかの瀬戸際を迎えていると言えるだろう。

トヨタ自動車、パナソニック、リクルートなどの一流企業はブームで終わらないサービスを事業の柱にしている。例えばトヨタの「自動車」は今後代替サービスがでてくる可能性はあるが、人々の生活に定着しており、ブームのように一気に終焉を迎えることはない。

②消費者を騙さない、正直な事業であること

書いてみると当たり前のことだが「正直な事業」ができない企業は多い。
最近ではDeNAのWELQ問題が代表例ではないだろうか。

【WELQ問題とは】
DeNA社が運営していた医療情報サイト「WELQ」が記載内容の品質や正確性を問われて、WELQを含むキュレーションサイトの公開を取りやめた騒動。この騒動でキュレーションメディアやバイラルメディア全体のあり方が問われ、大手企業を中心にキュレーションメディア、バイラルメディアの公開を次々と停止した。

キュレーション事業はDeNA社にとって社運を賭けた一大事業。「消費者」を考えた誠実な事業運営ができなかったことで大打撃を受けてしまった。

DeNA社は他の主力事業を持っていたため生き残ることができたが、中小企業であれば確実に倒産に追い込まれた事件であったと思う。

食品偽装事件や粉飾決算含め、まだ世に出ていない事例はいくらでも出てくるだろう。

事業を選ぶ判断基準は「利益が上がる事業か?」だけでなく「消費者を騙さない正直な事業か?」を考える必要がある。

③マニュアル化(システム化)できる事業であること

経営を続けると、最終的に誰もが「人」の問題に突き当たる。

どの会社も「売上が増える」⇒「人を増やす」⇒「売上が増える」⇒「人を増やす」というサイクルを回し続ける中で、人の成長が追いつかず、商品の品質を担保することが難しくなってくるのだ。

ここで重要なのがマニュアル化(システム化)できる事業かどうか?

例えば、一流シェフが調理をする高級レストランは店舗拡大できないが、調理をマニュアル化できるレストランは、マクドナルドのように世界中に店舗展開が可能となる。

もちろん、システム化でも問題ない。

例えば一流シェフと同じ調理ができるロボットを開発できればロボットを配備するだけで事業拡大が可能だ。

人への教育(サービスの維持)を人が行なうのは限界がある。
事業拡大したいのであれば

  • 「誰が担当してもサービスレベルの維持ができるマニュアル」
  • 「ハイスペックな人材と同レベルの対応ができるシステム」

が重要なポイントになる。

まとめ

①ブームで終わらない事業であること
②消費者を騙さない、正直な事業であること
③マニュアル化(システム化)できる事業であること

今回紹介した上記の3つの条件は過去の歴史から導き出した事業選択の条件である。

世界三大投資家の1人、ジム・ロジャーズも以下のように語っている。

 「とりわけ実際に危機が起きた際にこそ、過去の歴史から学ぶことが大事だ。投資をしていると、何かが変化していることが分かる。問題は、ほとんどの人が過去の歴史をきちんと見ていないことだ。歴史を振り返れば、今起きていることが何であるかが、きっと見えてくることだろう」

起業や経営の悩みも先人の歴史にヒントがある。

私自身も事業の選択で迷ったとき、同じ状況を迎えた先人に話を聞くようにしている。
同じ経験をした先輩経営者や同僚の経営者の言葉ほど心に響くものはない。