フリーランスを目指す方へ
脱サラして起業!
とまではいかなくても、雇われないフリーランスとしての生き方に憧れを抱く人は多い。
では、サラリーマン時代にどういうキャリアを歩めば、フリーランスとしても生きていける人材になれるのか?
まずは、フリーランスとサラリーマンの根本的な違いから考察しよう。
内海飛鳥(うつみあすか)/内海飛鳥中小企業診断士事務所代表
1985年広島県生まれ。京都大学経済学部卒業後、株式会社リクルートに入社。
ブライダル事業部の営業として、全国約100会場を担当。社長の右腕になれる営業になりたい思いから、中小企業診断士の学習を始め、30歳の時に取得。取得後、経営企画に異動し、事業計画の策定支援など管理会計業務を主務として行う。34歳のタイミングで個人事業主として独立。経営革新等支援機関にも登録されており、事業再構築、新規事業開発、事業承継を専門分野として活動。
‣その他の保有資格:事業承継士、2級ファイナンシャルプランナー技能士
‣好きな言葉、大切にしている言葉:「自ら機会を創り出し機会によって自らを変えよ」、「損して徳取れ」、「知徳併進」
サラリーマンとフリーランスの根本的な違い
サラリーマンは給与として会社からお金が支払われるのに対し、フリーランスは報酬として取引先からお金が支払われる。「当たり前のことを」と思うかもしれないが、この違いを認識することが非常に重要である。
サラリーマンでいると、搾取されていると感じることも多いが、実は労働者は労働三法を中心にかなり手厚く守られている。
それ故に、所属会社で貰っている給与に対してパフォーマンスを返せなくても直ぐにクビになることは無いし、報酬体系によってはパフォーマンスが落ちていると本人が自覚している状態でも年齢UPと共に給与が上がることだってある。
では、フリーランスはどうだろうか?
報酬を決めるのは、その時のパフォーマンスただ一つである。
自分が関わって提供する『付加価値』よりも『報酬』が上回ることは決してない。
フリーランスであっても契約内容によっては報酬が上回るケースもあるんじゃないか、と感じる方もいらっしゃるかもしれない。
確かにそのケースもある。
しかしながら、そのケースの場合、取引先の満足度が低いのでリピートに繋がることはまず無いし、最悪の場合、「ペテン師」としての悪評が所属業界内に広がってしまうことさえある。1社単体で見ると、たまたま「付加価値」<「報酬」となることがあっても、最終的には、『付加価値』=『報酬』に収れんする。
ビジネスとはそういうものだ。
フリーランスとして大切な考え方
ここまで読み進めていただくと、勘の良い方なら、サラリーマン時代にどんなキャリアを積まなければならないかが分かるのではないだろうか。
一言でいうなら、『付加価値』≧『給与』となるまで、目の前の仕事に全力で取り組んだり、自己研鑽を重ねたりすることが必要である。
ここで書いている『付加価値』とは、あなた一人の力で引き上げられた売上や収益と捉えていただけたらと思う。正確な計算方法があるわけではなく、自己評価として、自分の今の業務は幾らの価値を付加できたかを振り返っていただき、その総和が給与を上回るように努力してみてほしい。
営業を例で説明すると、取り扱い金額が100万円だったとした場合、
自分以外の営業担当だったら幾らになっていただろうか?
商品力が無ければ幾らになっていただろうか?
製造の協力が無ければ幾らになっていただろうか?
など冷静な目で自分を評価して、100万円のうちの自分の寄与分は幾らかを振り返ってみてほしい。
スタッフ職を例で説明すると、前任が形にした業務を全く同じやり方で行い、一切の改善部分が無いのだとすると、付加価値は0として評価、フォーマットを見やすくして現場長が喜ぶようになったのだとすると、ランチ1回分の価値はあるな、みたいな形で振り返ってみてほしい。
実践してみると、『付加価値』が『給与』を上回るのは非常に困難という印象を持つと思う。その場合は、今がサラリーマンで良かったとポジティブに捉えよう。仮にフリーランスになっていたら、その『付加価値』こそが『報酬』になっているのだから。
労働者は労働三法に守られていると、先ほど述べた。言い換えるならば、ミスしても全く問題ないのである。サラリーマンのうちに未体験のもの、難易度が高そうに見えるものに、積極的に手を挙げ、『付加価値』の創れる人になろう。会社としても、そういう社員は貴重なので、あなたの役職、給与は上がっていくだろう。
このような感じで『付加価値』と『給与』のレースを楽しんでみてほしい。
そして、『付加価値』≧「給与」が決定的となる日が来たら自信をもってフリーランスに挑戦しよう!