「1人で起業するか?複数人で起業するか?」
これは2013年に私が起業する際、もっとも悩んだことの1つ。
1人で起業する場合は、
コスト(人件費、家賃など)を抑えられるが、成功は1人の力にかかっている。
複数人で起業する場合は、
人数分のコスト(人件費、家賃など)がかかるが、複数人の力を結集できる。
どちらのパターンも成功した人はいるし、どちらが正解ということはないが、成長企業の多くは複数人で起業しており、私も複数人で起業する選択をした。
自分自身の経験を踏まえ、この決断に至った背景を紹介したい。
①フリーランス化してしまうリスク
あるとき、1人で起業した先輩達の多くがフリーランスのような働き方を続けていることに気付いた。
実際にフリーランスのような働き方を続けている何人かの先輩に話を聞いたが、フリーランス化してしまう理由をまとめると以下の2点だ。
・現在の仕事は儲かる
・現在の仕事をしながら、人を増やして組織化するのは難しい。
実力がある人が個人で月100万以上稼ぐのは難しくない。1人で起業し、毎月100万以上稼ぐ居心地が良い生活に慣れてしまうと、その生活を投げ出すことが難しくなる。
サラリーマンから起業の第1歩を踏み出すことが難しいように、高額な安定収入が見込めるフリーランスになってしまうと、人を採用して組織化することが難しくなるということだった。
②採用ハードルの違い
1人で起業した場合、1人目を採用するハードルが高い。
入社する人の気持ちになって考えてみよう。
社長1人の会社に入社するのか、既に複数人で動いている会社に入社するのかの違いを考えればそのハードルの違いが理解できるのではないだろうか。
1人で起業した場合、おそらく最初に採用するのは知り合いか、知り合いからの紹介以外は難しいだろう。
③チームで働くパワー
あるベンチャーキャピタリストも以下のように言っていた。
「事業内容に投資するよりも、チームに投資することの方が多い」
企業に必要な力は大きく分けて
(1)営業力
(2)マーケティング能力
(3)開発力(デザイン能力含む)
(4)バックオフィス管理力(財務・労務など)
の4つ。
この4つの分野のうち、「自分の弱い分野を補完できるメンバー同士」でチームを作ったほうが良いのは明らかだ。
私が好きなサッカーでも同じ。
互いに弱みを補完し合い、個人が強みに集中できるようなチームをつくれば必ず強くなる。有名選手を集めたタレント集団が必ず強いわけではなく、パフォーマンスは「チーム力」に左右される。
④チームで働くことが好きかどうか?
元々私は「個人成果」を重視する個人主義だったが、現在はチームで働くことが大好きだ。
こう考えるようになったのは前職のリクルートのおかげだが、「個人の特性や夢を相互に理解し、個人の成長を事業の成長をに結び付ける」というリクルートの組織の考え方が好きになったことに起因している。
起業する人すべての人が会社を拡大させたい訳ではないし、昔の私のように「個人主義」を尊重する組織でも良いだろう。
・社長の1人の会社
・個人主義のメンバーを集めた組織(例:保険営業)
・意思疎通がしやすい少数精鋭の組織
・人数が多い巨大組織
など、色々な組織の在り方がある。
自分が作り上げたい会社の規模に応じて1人で起業するか、複数人で起業するか?を判断すれば良いのかもしれない。
最後にDeNA創業者の南場さんの言葉を紹介したい。
~「不格好経営」より 著:南場智子~
自分の目標達成に向けて、その選択を正解にしていくことだけを考えて行動すれば良いのではないだろうか。