「地頭が良い」と周囲から言われている人はいないだろか?
「地頭」という言葉は定義が曖昧だが、多くのケースでは「理解が早い」という言葉に集約されるだろう。
どうすれば地頭が良くなるのか?
その秘密に迫りたいと思う。
地頭を構成する要素とは
①情報収集能力
人は物事を理解するとき、過去に情報に当てはめて理解をしようとする。
例えば「掛け算」を知っている人は「乗数」を理解するとき、同じ数字の掛け算だと理解するし、エクセルの「if関数」を使ったことがある人は、プログラミングの「if文」を理解するとき、「エクセルのif関数みたいなもの」と理解するだろう。
要するにそのことを知っているかどうかで理解のスピードが変わるということである。
A:「会社の売上が伸びているということは」
B:「××の商品が売れているのかもしれない」
A:「〇〇業界が伸びているということは」
B:「次に××業界が伸びるかもしれない」
A:「〇〇を欲しがる人がいるということは」
B:「××を欲しがる人もいるかもしれない」
このように、Aを知っているからこそ、Bの発想が出てくるということだ。
このようにAにあたる情報をどれだけ集められるか?この「情報収集能力」が地頭を構成する1つの要素と言える。
②情報整理力
2つ目は情報整理力。
情報整理力とは膨大な情報を整理して分析する力のことである。
先の例で挙げた
A:「会社の売上が伸びているということは」
B:「××の商品が売れているのかもしれない」
という予測をするとき、ほとんどの企業では「AがBになる理由」をデータで証明をする必要がある。このようなケースで情報整理力が求められる。
例えば、携帯電話会社の売上がアップしている理由を探るとき、どのような軸で分析するか理解できるだろうか?
ざっと挙げても
・契約者の年齢別の売上
・契約者性別別の売上
・契約者の職業別の売上
・契約者住所別の売上
・プラン、オプション、端末代金別の売上
・通話料、パケット通信、メール送信別の売上
・利用日時・利用時間帯別の売上
・利用する曜日別の売上
・利用地域別の売上
など、様々な軸で分析し、どのようなパターンで売上が伸びているのか把握する必要があるだろう。
情報整理力がある人は、この分析方法の引き出しが多い点に加え、時系列やマーケット平均と比較するなど、情報を整理して分かりやすく加工する術を理解している。
逆に情報整理力がない人は表面的な情報と自分の感性だけで「○○の売上が伸びているんじゃないでしょうか?」といった浅はかな発言をして、信頼を失ってしまうケースが実に多い。
ではどうすれば「情報整理力」を高めることができるのだろうか?
この「情報整理力」は誰もが生まれながらに持っている力ではなく、経験により鍛えられる力だ。
正しい分析フレームワークを知り、その分析フレームワークを何度も使いこなすことで情報整理力が磨かれていく。コンサルティングファームのビジネスマンの地頭が良いと思われているのは、フレームワークを使った分析経験を積むことで情報整理力が鍛えられたからと言えるだろう。
③没頭力
3つ目は没頭力。
没頭力とは「与えられたミッションに本気で取り組む力」のことであり、「情報収集力」、「情報整理力」のどちらにも影響する。
24時間365日アンテナを立てている「没頭力」のある人にとっては、テレビ、SNS、ニュース、目に入ってくる風景、友人との会話、すべてが有益な情報に繋がる可能性を秘めている。
例えば「イベントの集客を増やす」というミッションに没頭している人が、混雑しているスーパーマーケットや遊園地に足を運んだ時「何故こんなに人気になのか?」が気になり、その要因を突き止めようとするが、ミッション没頭していない人は、スーパーマーケットで買い物をしたり、遊園地で遊んで終わってしまうだろう。
なお、「没頭力」がある人は、自ら「没頭力」を生み出す働き方を意識している。自ら動かなければいけない環境を作り上げて生み出しているのだ。具体的には「上司への報告日を先に決めてしまう」「周りに目標達成を宣言する」等が効果的なやり方になるが、これについては別の機会に詳しく解説したい。
地頭が良い人の思考プロセス
何もないところから発明が生まれることはない。すべての始まりは「情報収集」である。
・没頭力を持って
・情報を収集し
・情報を整理する
というプロセスを経て問題を発見し、解決していく。
これが地頭が良い人の典型的な思考プロセスだ。
一般的にビジネスマンは「問題発見力」と「問題解決力」が必要だ言われるが、どちらも「地頭の良さ」、つまり本記事で紹介した3つの力がベースになっている。没頭力を持って、情報を収集し、情報を整理できる人は「問題発見力」と「問題解決力」が高いということだ。
地頭が良い人が集まる会社は業績が良い
「地頭が良い人」が集まる会社は、多くの問題を発見し、多くの問題を解決するため事業は成長を続ける。世界的企業(Googleなど)が採用試験で地頭の良さを計るような問題を出しているのはそのためだ。
以前、仕事で関わりのあったIBMの方がこんなことを言っていた。
要するに
「没頭力、情報収集力、情報整理力がないから課題が見つかっていないだけ」
「そんな社員が集まっている会社は知れている」
「だから大事なシステムをその会社には発注はできない」
ということのようだ。
一流と言われる企業は、常に多くの課題を見つけ出し、課題の解決をすることで成長を続けていく。
「地頭の良さ」は一流ビジネスマンへの登竜門と言えるのではないだろうか。