ビジネスマンの出世に必要な力とは?

「出世できる人」と「出世できない人」の違いとは何だろうか?

私が働いていたソフトバンクもリクルートも一流大学の出身者が多いが、入社して3年ほど経つと能力に差が広がり、同期を突き放して頭角を現す人が出てくる。
「最年少部長」、「最年少役員」と持てはやされるような人材だ。

残念ながら私はソフトバンクでもリクルートでも大した出世をしていないが、「何故、出世のスピードに違いが出るのか?」を冷静に分析してきた。

今回は私が気付いた「頭角を現す人材が必ず持っている3つの力」を紹介したい。

圧倒的な「当事者意識」

★期待を超える成果を出す

当事者意識とは「仕事の課題」を「自分自身の課題」として捉える意識のことだ。
頭角を現す人材は、会社から与えられたミッションに対して「そこまでやるのか!」と驚愕するほど没頭して成果を上げる。

例えば「●●を明日までに準備して欲しい」と依頼すれば、「●●に加えて、××も必要だと思うので合わせて準備しておきました」と回答が返ってきたり、「このリストを明日までに半分仕上げて欲しい」と依頼すれば、翌日「半分ではなく、全部できました」といった回答が返ってくる。

何故、こんなことができるのか?

それは仕事が早いからではなく当事者意識の違いである。仕事が遅い新人時代であれば「徹夜してでも依頼者の期待を超える成果を上げよう!」と意識して仕事に取り組んでいるのだ。

このように当事者意識が高い人材に「重要な仕事」が回ってくることは誰も疑わないだろう。

「あいつは大手クライアントを担当できて運が良い」「あいつが出世するのは上司に媚びを売っていたからだ!」という陰口を聞くこともあるが、それは運ではなく、期待を超える成果によってチャンスを掴んでいるのだと考えたほうが良い。

★大きな課題に自らチャレンジする

例えば営業職の場合、
(1)営業手法の課題
(2)営業戦略・商品の課題
(3)会社の課題
と順を追って課題が大きくなっていく。

一般的な営業人材は「どうすれば売れるのか?」を考え、(1)だけの課題に注力するが、頭角を現す人材は(1)以外の問題に気付き、「(2)営業戦略・商品の課題」、「(3)会社の課題」に対して社内で問題提起をしていく。もちろん問題を提起するだけでなく、「その仕事を自分にやらせて欲しい」と申し出るのだ。

(2)や(3)の仕事は、本来上司の仕事であるが、「自らの意思で上司が抱えている仕事・課題をサポートしたい」と申し出る人材は上司にとって頼りになるだろう。

実際、多くの部下を持つ上司は忙しく、1つ1つのプロジェクトに対して細かな指示を出すことが難しいケースが多い。上司自身も進捗が止まっていることに気付きながら、優先度を下げて黙認してしまっている仕事も多いだろう。
そんな中、「○○の件、私にやらせてください!」と申し出る部下がいれば、頼もしく感じるのはもちろん、実質、上司の仕事の一部を引継ぎすることになるので、次の出世が確実なものになっていく。

ただ、ミッションよりも上の仕事を取り組むには、今の仕事で十分な成果を出していることが前提になるので、そこは注意して欲しい。

圧倒的な論理的思考(構造化能力)

2つ目は物事を構造的に捉え、ロジカルに説明する力。
この力はビジネスマンに必要な力であることに異論を唱える人はいないと思う。

例えば、論理的思考が強い人に「店舗の売上分析」を任せれば

(1)食品カテゴリ毎の売上(ドリンク/お菓子/雑誌/パン/生鮮食品/化粧品等)
(2)男女別売上
(3)年齢別売上(10代/20代/30代等)
(4)移動手段別売上(徒歩・自転車・自動車等)
(5)月別・曜日月売上
(6)新規顧客・リピート顧客別売上
(7)支払方法別売上(現金/クレジット/電子マネー)

など、色々な観点で売上を捉えようとするだろう。その他にも時系列の分析したり、マーケット平均と比較するなど様々な観点での分析が可能だが、論理的思考(構造化能力)が弱い人は(1)が全てだと考えてしまう。

経営陣は物事の捉え方・分析が事業戦略を左右することを理解しているので、どのような会社であっても論理的思考が弱い人が重要なポジションに就くことはないと考えたほうが良いだろう。

なお、論理的思考は最初からできるものではない。多くのトレーニング(経験)を積むことで強化され、最終的には「ゼロ秒思考(物事をみたときに、すぐに概略がつかめる能力)」を身に付けることができる。

私が知る限り、一流ビジネスパーソンは「ゼロ秒思考」を漏れなく身に付けている。一流ビジネスパーソンの多くは話の展開が速く、決断が早いのはそのためだ。役員クラスへの出世を狙うのであれば、「ゼロ秒思考」はマスト条件。ぜひ、日々トレーニングを積んでもらいたい。

圧倒的な忍耐力

忍耐力には2つのパターンがある。

(1)難しい仕事を「成果がでるまでやり切る力」
(2)簡単な仕事を「ミスをしないでやり切る力」

部下が上司から難しい仕事を任されたとき、あきらめず成果を出す部下は頼もしい。また簡単な仕事を任せたても不平不満を言わず、ミスをしないで完璧にやり切る部下もまた頼もしいものだ。

多くの部下は難しい仕事を任せても成果を出せないまま終わるケースが多いが、成果が出ない理由の90%は「途中であきらめてしまう」からだ。成果が出なくても「●●の方向で考えたいので、もう少しやらせて欲しい!」と意欲を伝えられたとき、断る上司はいないだろう。最終的に成果を出せなかったとしても、このような意欲と忍耐力を見せられる部下は、必ず出世対象になることを覚えておくと良い。

また、簡単なつまらない仕事であっても完璧にミスなくやり切る部下は信頼を獲得する。「当たり前のことを当たり前でできること」が仕事において最も重要であることを忘れてはいけない。簡単な仕事を疎かにしてミスを連発するようでは上司の信頼を勝ち得ることは絶対にないだろう。

まとめ

今回の記事で紹介した出世に必要な三種の神器。

①圧倒的な当事者意識
②圧倒的な論理的思考
③圧倒的な忍耐力

この3つが出世に必要な基盤になることは間違いない。
①~③の基礎能力が、その後必要になるマネジメント能力、リーダーシップの土台となるので、避けることなく学び、経験を積むことでより上を目指して欲しい。